たとえば、来週の出張の準備をしている夜。ケーブルや充電器をポーチに詰めながら、引き出しを開けると、モバイルバッテリーが3つ出てくる。ノートPCも充電できる大きめのもの、いつもかばんに入れている小さなもの、いつかのイベントでもらったもの。
「全部持っていけば、どこで電池が切れても安心かな」
そう思ってかばんに入れかけたところで、ふと手が止まる。そういえば、飛行機のモバイルバッテリーのルールが変わったと、どこかで見た気がする。調べてみると「機内でモバイルバッテリー使用禁止」「違反すると罰則」といった強い言葉が並んでいて、かえって不安になる。じゃあ、機内でスマホの電池が切れそうになったらどうすればいいのか。3つ目は持っていけるのか。
この記事は、ちょうどそんな気持ちで検索した人に向けて書いています。
この記事を書くにあたって、国土交通省の報道発表と添付資料、航空局が配信した資料、法令の告示の表、JAL・ANA の案内、そして国際基準(ICAO)と海外の航空会社の案内を、2026年10月7日に直接開いて読み比べました。
読み比べて分かったのは、次の3つです。
- 2026年4月24日から変わったのは3点。そのうち「2個まで」と「機内でモバイルバッテリーを充電しない」は決まりで、「機内でモバイルバッテリーから他の機器を充電しない」は、国の資料自身が「法律に基づく禁止ではなく要請」と書いている
- ただし、外国の航空会社では、同じか、もっと厳しいことがある。今回確かめた3社は、どれも日本の国内ルールより厳しかった
- 10,000〜20,000mAh クラスの多くは、計算すると 100Wh 以下に収まる。今持っている1台で足りる人は多い
先に私の考えを書いておくと、このルール変更をきっかけに、あわててモバイルバッテリーを買い足す必要がある人は多くないと思っています。必要なのは、手元の1台の「Wh」を確かめることと、機内での持ち方を変えることです。
なお、この記事は特定の製品の実機レビューではありません。製品の数字はメーカーの公式仕様から引いています。また、法律の解釈を断定するものではなく、「国の資料にこう書いてある」という紹介です。最終的には、乗る便の航空会社の案内に従ってください。
まず結論|変わったのは3点。「決まり」は2つ、「お願い」は1つ

国土交通省は、2026年4月14日の報道発表で、4月24日から次の3点を「新たなルール(従来のルールからの追加分)」として適用すると発表しました。
| 変わったこと | 性格 | 根拠になっている書き方 |
|---|---|---|
| 機内持込みのモバイルバッテリーは2個まで(160Wh以下に限る) | 決まり | 告示の表に「2個」と規定。国交省は違反時に罰則の可能性があると注記 |
| 機内でモバイルバッテリーへの充電をしない | 決まり | 告示の表に「パワーバンクを航空機内において充電しないこと」。同じく罰則の可能性の注記あり |
| 機内でモバイルバッテリーから他の電子機器へ充電をしない | お願い(要請) | 航空局の資料に「法律に基づく禁止事項ではありませんが、行わないよう要請するもの」と注記 |
そして、以前からあるルールも整理し直されています。国交省が旅客向けに出した資料(別紙1)は、全部で7項目を並べていました。
| # | 項目 | 新旧 | 性格 |
|---|---|---|---|
| 1 | 預け入れ手荷物に入れない(必ず機内へ) | 従来から | 決まり |
| 2 | ワット時定格量 160Wh まで | 従来から | 決まり |
| 3 | ショートしないように1個ずつ保護する | 従来から | 決まり |
| 4 | 座席上の収納棚に入れない(手元に置く) | 2025年7月8日から | お願い |
| 5 | 1人2個まで | 2026年4月24日から | 決まり |
| 6 | 機内でモバイルバッテリーに充電しない | 2026年4月24日から | 決まり |
| 7 | 機内でモバイルバッテリーから他の機器を充電しない | 2026年4月24日から | お願い |
この「決まり」と「お願い」の線は、私が勝手に引いたものではありません。別紙1の末尾には、「1-3、5・6に違反した場合、航空法により罰則が科される可能性があります」という注記があります。番号に入っていないのは、4(収納棚)と7(他の機器への充電)の2つです。
つまり、新しく加わった3点のうち2つは、守らないと航空法上の問題になりうる「決まり」。残る1つは、守ってほしいという「お願い」です。
ここで1つ、たとえ話をさせてください。道路の標識に「駐車禁止」とあるのと、看板に「アイドリングはご遠慮ください」とあるのとでは、意味の重さが違います。前者は決まりで、後者はお願いです。でも、お願いだからといって、店の前でエンジンをかけっぱなしにしていいわけではない。今回の3点目は、ちょうど後者の位置にあります。
📘 個人事業主の AI 業務設計ガイド
ガジェット選びの先に「業務全体の効率化」を設計してみませんか?
良いガジェットを揃えても、業務フローが古ければ効果は半減。
Claude Codeを活用してブログ業務を 週18時間→週3時間 に圧縮した実装記録を、Note連載で全公開しています。
無料部分3,200字+有料9,800字 / 連載全13章
「決まり」と「お願い」はどこで分かれるのか|国の資料の書き方を並べてみた

ネットの解説や検索の要約には、3つをまとめて「禁止」と書いているものがあります。実はこの記事のために試した検索の要約と AI の回答でも、「モバイルバッテリーから他の機器への充電は禁止」とまとめて返ってきたり、「航空法で罰せられる可能性」と書かれたりしました。
そこで、国の資料そのものの書き方を、言葉の単位で並べてみます。
法令の告示には「2個」と「充電しない」しか書いていない
ルールの土台は、航空法第86条(爆発物等の輸送禁止)と、それにもとづく「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」です。国交省が公開している告示の表(別表第18・令和8年4月24日適用)を開くと、モバイルバッテリーはこう書かれていました。
- 品名:パワーバンク(他の電子機器に電力を供給する目的のものであってリチウム電池を内蔵したもの)
- 預入手荷物:×/持込み手荷物:○/一人当たり:2個
- 同じ表の「リチウム電池を内蔵した携帯型電子機器」の欄の備考に:「パワーバンクを航空機内において充電しないこと。」
一方、「モバイルバッテリーから他の電子機器へ充電しないこと」に当たる文言は、この表には見当たりませんでした。
航空局の資料は「要請」とはっきり書いている
航空局が2026年4月23日に配信した資料(「航空局からのお知らせ」の通し番号111)は、新しい3点を並べたうえで、3つ目にだけ「※」を付けて、こう注記しています。
※ 法律に基づく禁止事項ではありませんが、行わないよう要請するものです。
旅客向けの別紙1も、書き分けがはっきりしています。
- 6(モバイルバッテリーへの充電):「機内電源などからモバイルバッテリーへの充電は禁止されています。」
- 7(他の機器への充電):「モバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないでください。電子機器の充電は、機内備え付けの電源からお願いします。」
航空会社の案内も、書き分けている
国内の航空会社でつくる定期航空協会は、会員の航空会社全社で4月24日から統一して対応すると発表していて、項目ごとに「※」の有無で罰則の可能性を書き分けています。「機内でモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしない」には、※が付いていません。
ANA の案内も同じ線で、「機内充電からモバイルバッテリーへの充電は禁止です」「モバイルバッテリーから電子機器への充電はお控えください」と、語尾を変えていました。JAL の案内は、充電に関する2点をどちらも「〜しないこと」という同じ形で並べ、ページの題名を「〜についてのお願い」としています。
国際基準も「must」と「should」で分けている
この3点は、日本が独自に考えたものではありません。国際民間航空機関(ICAO)が2026年3月27日に危険物の国際基準を緊急改正し、日本はそれに準拠して国内の基準を改めた、と国交省は説明しています。
その国際基準の書き方を、英国の航空当局(UK CAA)の解説ページで確かめると、こうなっていました。
- 機内でモバイルバッテリーを充電すること:must not(してはならない)
- モバイルバッテリーで他の機器を充電すること:should not(すべきでない)
- 1人あたりの数:最大2個
国際航空運送協会(IATA)の航空会社向けの解説も、前者を「新しい要件」、後者を「新しい推奨」と呼び分けています。日本の「決まり」と「お願い」の線は、国際基準の線をそのままなぞっているわけです。
「お願い」だから使っていい、ではない
ここまで読むと、「じゃあ他の機器への充電は、やってもいいんだ」と受け取る人もいるかもしれません。私はそうは読みませんでした。
国交省は「行わないよう要請する」と書き、「電子機器の充電は、機内備え付けの電源から」と代わりの道まで示しています。国交省の別紙1も定期航空協会の発表も、「各航空会社の指示に従ってください」と書いています。法律の罰則がない、ということと、機内でやっていい、ということは別の話です。それに、次の章で見るように、外国の航空会社ではこれがはっきり「禁止」になっている便もあります。
この記事で言いたいのは、「罰則があるから怖い」でも「要請だから大丈夫」でもありません。「何が決まりで、何がお願いなのかを正確に知ったうえで、機内では使わない前提で準備しておく」のがいちばん迷わない、ということです。
外国の航空会社・海外の便ではどうなるか

ここが、この記事を書く前にいちばん確かめたかったところです。国交省のルールは、外国の航空会社の便や、日本を発着しない便にも当てはまるのか。
結論から言うと、「日本の国内基準」と「国際基準」と「航空会社ごとのルール」の3つが重なっていて、最終的に従うのは乗る便の航空会社の案内です。順番に見ます。
日本のルールは「日本の航空局が定めた国内基準」
国交省の発表は、ICAO の国際基準に準拠して「我が国においても」告示を改正した、という書き方です。そして、定期航空協会に加盟する国内の航空会社(JAL・ANA をはじめ、2026年4月1日時点で19社)が、4月24日から統一して対応しています。
一方で、この日本の告示が外国の航空会社の便にどこまで及ぶのかを、はっきり書いた国の資料は、私が読んだ範囲(報道発表・別紙1と2・航空局の配信資料・告示の表)には見つかりませんでした。だからこの記事では、ここを断定しません。
その代わり、国交省自身が外国の航空会社について書いている一文があります。2025年7月に「収納棚に入れないで」というお願いを始めたときの発表に、こうありました。
※外国航空会社に搭乗する場合には、各航空会社の指示に従ってください。
2026年4月の別紙1にも、「航空会社によって、より厳しいルールを設けている場合がありますので、各航空会社の指示に従ってください」と書かれています。
国際線は、国際基準が同じ3点を定めている
では外国の航空会社はバラバラなのかというと、土台は共通です。先ほどの ICAO の改正は国際航空に向けたもので、「2個まで」「機内で充電しない(must not)」「他の機器を充電しない(should not)」という3点の構造は、日本のルールと同じです。
ただし、IATA は航空会社向けの解説で、この変更が法的に効く時期は国ごとの手続きしだいで、すぐ効く国もあれば、法改正が要る国もある、と書いています。さらに、旅客向けの解説では「航空会社は、より厳しい条件を課すことがある」と明記しています。
実際、今回確かめた3社は日本より厳しかった
2026年10月7日に、日本からも乗る人の多い3社の公式ページを確かめました。
| 航空会社 | 公式の案内(要旨) |
|---|---|
| 大韓航空ほか韓進グループ5社(大韓航空・アシアナ航空・ジンエアー・エアプサン・エアソウル) | 2026年1月26日から、国内線・国際線とも機内でのモバイルバッテリーの使用を全面禁止。持っていることだけができる。収納棚に入れるのも禁止(大韓航空の広報ページ・2026年1月23日) |
| シンガポール航空 | 1人2個まで。飛行中はモバイルバッテリーの使用も充電も不可。100Wh を超えるものは事前の承認が必要 |
| キャセイパシフィック航空 | 1人2個まで。香港の法律により、座席の電源からモバイルバッテリーを充電することも、モバイルバッテリーで機器を充電・給電することも禁止。収納棚に入れず、前の座席の下に置く |
日本では「お願い」の3点目が、この3社でははっきり禁止です。つまり、日本の航空会社の感覚のまま外国の航空会社に乗ると、「お願いだと思っていたことが、その便では禁止だった」ということが起こりえます。
日本を発着しない便は、その国のルール
たとえば米国の国内線は、米国のルールです。米連邦航空局(FAA)の旅客向けページ(2026年8月11日更新)を見ると、ほとんどの電池について数の上限は「なし」としたうえで、国内・国際の多くの航空会社が、モバイルバッテリーの数や Wh についてより厳しい制限を設けていることがある、と書かれていました。国によって土台のルールが違い、その上に航空会社のルールが乗るという構造です。
もう1つ見落としやすいのが、共同運航便(コードシェア便)です。ANA の国際線の案内には、コードシェア便や他社の運航便が旅程に入る場合は、他社の手荷物ルールが適用になることがある、と書かれています。日本の航空会社で予約していても、実際に飛ばすのが外国の航空会社なら、その会社のルールになりうるということです。
迷わないための確かめ方
外国の航空会社や乗り継ぎのある旅程なら、次の順で確かめるのが確実です。
- 予約確認のメールで「運航会社」(Operated by)を見る
- その会社の公式サイトで「lithium battery」「power bank」の案内ページを開く
- 「数」「Wh の上限と承認の要否」「機内で使えるか」の3つをメモする
私の考えでは、外国の航空会社に乗るときは「機内では一切使えない」と思って準備しておくのが、いちばん迷いません。これなら、どの会社のルールが一番厳しくても困らないからです。
「機内では使わない」前提の持ち方|搭乗前・機内・到着後

ルールが分かったところで、実際の持ち方に落とします。発想を1つだけ変えるとしたら、「飛行機の中は、モバイルバッテリーを使わない区間」と考えることです。
高速道路に、給油できるサービスエリアがない長い区間があると分かっていたら、手前で満タンにしておきますよね。それと同じで、モバイルバッテリーの出番は「搭乗前」と「到着後」。機内はその間をつなぐ区間です。
搭乗前(家を出る前〜保安検査)
- 本体の Wh 表示を見る。かすれて読めない、そもそも書いていない場合は、空港で確かめられず持ち込めないことがあります。成田空港の案内は、Wh が分からないリチウムイオン電池は航空会社の職員か保安検査員に尋ねるよう案内しています
- 2個までに絞る。3つ持っているなら、Wh の小さいものから2つを選ぶのが無難です。数は「1人あたり」なので、家族の分を1人のかばんにまとめず、それぞれが自分の分を持つほうが数え間違いが起きにくいと思います
- 端子を保護して、1個ずつ分ける。購入時の袋やケースに入れる、端子にテープを貼る、小銭や鍵と同じポケットに入れない。これは「決まり」の側の項目です
- 預け入れ手荷物には入れない。これも決まりです。国交省の別紙1には、持ち込めなかったモバイルバッテリーは宅配便などの貨物としても航空輸送できない場合がある、とも書かれています。空港で手放すことにならないよう、家を出る前に数と Wh を確かめておきたいところです
- 充電は前の晩までに。IATA の旅客向けの解説には、出発直前の充電を避け、充電したら冷めてからかばんにしまうように、という助言がありました
機内
- 座席上の収納棚には入れない。座席の前ポケットや足元など、手の届くところに置きます(2025年7月からのお願い)
- スマホの充電は、座席の電源で。国交省自身が「電子機器の充電は、機内備え付けの電源から」と案内しています。ただし、座席に電源がない機材もあるので、搭乗前にスマホ本体を充電しておくのが先です
- 機内でモバイルバッテリーに充電しない。座席の USB や電源にモバイルバッテリーをつなぐのは、決まりの側です
- 異常があったらすぐ乗務員に。熱い、膨らんでいる、煙が出ている、と感じたら、自分で何とかしようとせず知らせます
- マグネットで付くワイヤレス型は、スマホから離しておく。IATA は、ワイヤレス型がかばんの中で勝手にスマホを充電し始めないよう、電源を切って離しておくよう助言しています
搭乗口で手荷物を預けることになったら
満席の便などで、機内持ち込みのつもりだったかばんを搭乗口で預けることになる場合があります。そのときは、かばんからモバイルバッテリーを抜いて手元に残すのを忘れないでください。IATA の解説にも、FAA のページにも、同じ注意がありました。
出発前に、回収対象になっていないかも
もう1つ、地味ですが大事なことがあります。手元のモバイルバッテリーが、メーカーの自主回収(リコール)の対象になっていないかです。メーカーによっては、本体に書かれたシリアル番号を入力すると対象かどうかを確かめられるページを用意しています。旅行の前は、手持ちの1台を見直すちょうどいいタイミングだと思います。
今のモバイルバッテリーで足りるか|買わなくていい人

ここからは、モバイルバッテリーそのものの話です。まずは、買わなくていい人から書きます。
買い足さなくていい人
- 今持っているモバイルバッテリーが、本体の表示で100Wh 以下の人。日本の国内ルールの上限は160Wh なので、100Wh 以下なら余裕があります。後で見るように、外国の航空会社で求められやすい条件にも入ります
- 3つ以上持っている人。新しく買うのではなく、2つに絞れば済みます
- 国内線の短い移動が中心で、到着後にすぐ充電できる人。機内で使わないなら、大きな容量は要りません
- 座席の電源がある便に乗ることが多い人。スマホの充電は座席の電源でまかなえます
「ルールが変わった」というニュースは、手元の1台が使えなくなったという意味ではありません。変わったのは「数」と「機内での使い方」で、ほとんどの人の1台の中身は、そのまま持っていけます。
Wh の確かめ方
Wh(ワット時定格量)は、電池が蓄えられるエネルギーの量です。国交省の別紙1には、計算式が載っています。
ワット時定格量(Wh)= 定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1,000
たとえるなら、mAh は「ペットボトルの本数」、定格電圧は「1本あたりの容量」、Wh は「全部で何リットルあるか」です。本数だけでは総量が決まらないように、mAh だけでは Wh は決まりません。
別紙1の計算例は、定格容量 27,000mAh・定格電圧 3.7V で 99.9Wh でした(27,000 × 3.7 ÷ 1,000 = 99.9)。モバイルバッテリーの中の電池の定格電圧は 3.6V か 3.7V で書かれていることが多いので、両方で計算した早見表を置いておきます。
| 容量(mAh) | 3.6V で計算 | 3.7V で計算 | 日本の国内ルール |
|---|---|---|---|
| 10,000 | 36Wh | 37Wh | 持ち込める(2個まで) |
| 20,000 | 72Wh | 74Wh | 持ち込める(2個まで) |
| 25,000 | 90Wh | 92.5Wh | 持ち込める(2個まで) |
| 27,000 | 97.2Wh | 99.9Wh | 持ち込める(2個まで) |
| 30,000 | 108Wh | 111Wh | 160Wh 以下なので持ち込める。ただし100Wh 超(外国の航空会社では承認が要ることがある) |
| 40,000 | 144Wh | 148Wh | 160Wh 以下なので持ち込める。ただし100Wh 超(同上) |
逆算すると、100Wh に収まる上限は、3.7V なら約27,000mAh、3.6V なら約27,800mAh です。この表はあくまで目安で、最後に効くのは本体に書かれた Wh の数字です。メーカーの書き方も見てみると、たとえば Anker は、10,000mAh の製品を Amazon の商品ページで「36.0Wh」、20,000mAh の製品を公式サイトの仕様で「72Wh」と書いていて、どちらも 3.6V で計算した値になっていました。
100Wh を超えるものを持っている人
ノートPC 用に、100Wh を超える大容量モデルを持っている人もいると思います。日本の国内ルールでは160Wh 以下なら持ち込めますが、気をつけたい点が2つあります。
1つは、外国の航空会社では、100Wh を超えるものに事前の承認を求めるところがあることです。シンガポール航空は、承認の申し込みに製品の写真や、国連の輸送試験に適合していることを示す書類を求めていました。
もう1つは、2027年以降の話です。JAL の案内には、IATA の規定変更により「2027年1月以降は100Whに制限される可能性があります」と書かれています。実際、IATA の航空会社向けの解説(2026年3月31日付)には、100〜160Wh のモバイルバッテリーを航空会社の承認で持ち込める規定を、2027年1月1日に発効する IATA の危険物規則(第68版)には引き継がない、と書かれていました。ただし、これは航空会社の業界団体の規則の話で、国際基準(ICAO)や日本の告示がどうなるかは、2026年10月7日時点で私が確かめた範囲では決まっていません。「100Wh を超えるものは、来年以降は持ち込めない可能性がある」くらいに受け止めておくのがよさそうです。
外国の航空会社に乗ることが多い人や、これから大容量モデルを選ぶ人は、この2点を考えると100Wh 以下を選んでおくのが無難です。逆に、国内線しか乗らず、今の大容量モデルで困っていないなら、今すぐ手放す理由はありません。
買い替える・買い足すなら|旅行・出張に持つ1台の4条件

それでも、手元の1台の Wh が読めない、古くて膨らんできている、そもそも持っていない、という人もいると思います。そういう人のために、旅行・出張に持つ1台を選ぶ条件を4つに絞りました。
条件1:100Wh 以下
前の章で書いたとおりです。日本の国内ルールなら160Wh まで持ち込めますが、外国の航空会社の承認の手間と、2027年以降の可能性を考えると、旅行用の1台は100Wh 以下にしておくと、承認の手続きを考えずに済む便が多くなります(それでも、機内で使えるか・数の上限は航空会社ごとに違うので、乗る便の案内は一度確かめてください)。容量でいえば、おおむね27,000mAh までです。
条件2:本体と公式の仕様に Wh が書いてある
空港で確かめられるのは、本体に書かれた数字です。買う前に、メーカーの公式仕様や商品ページに Wh がはっきり書かれているかを見てください。
たとえば Amazon の Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-Cケーブル)の商品ページ(販売元 AnkerDirect)には、「10000mAh、10K、36Whはいずれも同一容量を示しています」という注記がありました。mAh と Wh の両方を、同じ製品の数字として並べて書いてくれていると安心です。
逆に、購入者のレビューには、公式とは違う Wh の数字が書かれていることもありました。Wh はレビューではなく、本体の表示と公式の仕様で確かめるのが確実です。
条件3:容量は「着いてから」で決める
機内で使わない前提に立つと、必要な容量の考え方が変わります。家を出てから、到着先で充電できる場所に着くまでに、何をどれだけ充電するかで決めればいいのです。
- スマホ中心で、1〜2泊の出張・旅行:10,000mAh 前後(36〜37Wh)。Anker の公式サイトは、10,000mAh の製品で iPhone 16 を約2回充電できると案内しています(Anker 調べ)。重さは、たとえば Anker の10,000mAh の2製品で約212g と約230g
- ノートPC も充電したい出張:20,000mAh 前後(72〜74Wh)で、USB-C の出力が PC に足りるもの(PC の充電器のワット数を目安に)。重さは、たとえば Anker の20,000mAh の PC 向けモデルで約440g と、10,000mAh クラスのほぼ倍になります
「大は小を兼ねる」と思いがちですが、機内で使わないなら、大きい1台は重さだけを運ぶことになりかねません。2個までというルールの中で、軽い1台で済むなら、それがいちばん身軽です。
条件4:ケーブル一体型なら、荷物が1つ減る
これはルールではなく、旅の荷物の話です。ケーブルが本体と一体になっているタイプは、ケーブルを忘れる心配がなく、ポーチの中身が1つ減ります。なお、ケーブル一体型も、コンセントのプラグが付いた充電器一体型も、マグネットで付くワイヤレス型も、「他の機器に電力を供給するためにリチウム電池を内蔵したもの」という国の定義に当てはまるので、モバイルバッテリーとして2個の数に入ると考えておくのが自然です。
条件に当てはめた例
4つの条件に当てはめて、メーカーの公式仕様に Wh か mAh・重さがはっきり書かれている例を2つ挙げます。どちらも「これが一番」という意味ではなく、条件を満たす1台がどんな姿かを示すための例です(数字は2026年10月7日に Anker の公式サイトと Amazon の商品ページで確認)。
スマホ中心の人の例:Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-Cケーブル)
- 容量:10,000mAh/36.0Wh(Amazon の商品ページの仕様)
- 重さ:約230g(Anker 公式)
- 巻取り式の USB-C ケーブルが本体に付いている
- 発売:2025年9月(Anker 公式)
Amazonで見る:Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-Cケーブル)
ノートPC も充電したい人の例:Anker Zolo Power Bank(20000mAh, 87W, Built-In USB-Cケーブル, For PC)
- 容量:20,000mAh/72Wh(Anker 公式)
- 重さ:約440g(Anker 公式)
- USB-C の出力は最大65W、合計最大87W(Anker 公式)
- 発売:2026年8月(Anker 公式)
Amazonで見る:Anker Zolo Power Bank(20000mAh, 87W, Built-In USB-Cケーブル, For PC)
Anker 以外も含めて、UGREEN などほかのメーカーのモバイルバッテリーや充電器と比べてから決めたい人は、当サイトの UGREEN と Anker の比較記事で、メーカーごとの違いを整理しています。
旅行の荷物全体を見直すなら
モバイルバッテリーのほかに、充電器・ケーブル・変換プラグなど、旅行に持っていくガジェットをまとめて見直したい人は、旅行ガジェットの記事も参考にしてください。そのときも、モバイルバッテリーは2個まで・100Wh 以下・機内では使わないの3つを先に決めておくと、ほかの持ち物が選びやすくなります。
よくある質問
- 「2個まで」は、容量に関係なく2個ですか?
-
はい。160Wh 以下のモバイルバッテリーは、Wh の大小にかかわらず1人2個までです。定期航空協会の発表も「160Wh以下は、Wh数にかかわらず、合計2個まで」としています。小さなモバイルバッテリーなら3個持っていい、という扱いにはなっていません。
- カメラの予備バッテリーも、2個の数に入りますか?
-
モバイルバッテリーとは別の扱いです。国交省の告示の表では、100Wh 以下の予備のリチウムイオン電池は個数に入れないことになっています。ただし、100Wh を超え160Wh 以下の予備電池は、100Wh を超えるモバイルバッテリーと合わせて2個までです。たとえば100Wh 超のモバイルバッテリーを2個持つと、100Wh 超の予備電池は持ち込めません。
- 機内でスマホの電池が切れそうなときは、どうすればいいですか?
-
座席に電源があれば、そこから充電します。国交省は「電子機器の充電は、機内備え付けの電源からお願いします」と案内しています。座席に電源がない機材もあるので、搭乗前にスマホ本体を充電しておくのが先です。
- モバイルバッテリーで他の機器を充電したら、罰則がありますか?
-
国交省の資料では、罰則の可能性が注記されているのは「預け入れない」「160Whまで」「ショート防止」「2個まで」「機内でモバイルバッテリーを充電しない」の5項目です。「他の機器を充電しない」は「法律に基づく禁止事項ではありませんが、行わないよう要請するもの」とされています。ただし、外国の航空会社では禁止の便もありますし、国交省も定期航空協会も「各航空会社の指示に従ってください」と案内しています。
- 外国の航空会社でも、日本と同じルールですか?
-
土台は同じですが、もっと厳しいことがあります。「2個まで」「機内で充電しない」は ICAO の国際基準と同じです。ただ、大韓航空などの韓進グループ5社、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空は、機内でモバイルバッテリーを使うこと自体を禁止しています(2026年10月7日に各社の公式ページで確認)。乗る便の運航会社の案内を確かめてください。
- 27,000mAh なら持ち込めますか?
-
本体の Wh 表示が100Wh 以下なら、日本の国内ルールでは問題ありません。国交省の計算例では、27,000mAh・3.7V で99.9Wh です。3.6V なら97.2Wh になります。表示されている Wh が最終的な判断材料なので、mAh だけで判断せず、本体の表示を確かめてください。
- ワイヤレス充電タイプやケーブル一体型も、モバイルバッテリーに入りますか?
-
国の定義では、「他の電子機器に電力を供給する目的のものであってリチウム電池を内蔵したもの」がモバイルバッテリー(パワーバンク)です。ワイヤレス型もケーブル一体型も、この定義に当てはまると考えるのが自然です。判断に迷う製品は、乗る航空会社に確認してください。
- 2027年から100Wh までになるのですか?
-
決まったわけではありませんが、可能性があります。JAL は「2027年1月以降は100Whに制限される可能性があります」と案内していて、IATA の航空会社向けの解説には、100〜160Wh のモバイルバッテリーを承認で持ち込める規定を2027年1月発効の規則に引き継がない、と書かれています。国際基準や日本の告示がどうなるかは、2026年10月7日時点では確認できませんでした。これから買うなら100Wh 以下を選んでおくと安心です。
まとめ|「2個まで・機内で充電しない」は決まり。「他の機器を充電しない」はお願い、ただし会社によっては禁止

この記事で確かめたことを並べます。
- 2026年4月24日から、機内持ち込みのモバイルバッテリーは1人2個まで(160Wh 以下)、機内でモバイルバッテリーを充電しない、が加わった。どちらも告示に書かれた決まりで、国交省は違反に罰則の可能性があると注記している
- 機内でモバイルバッテリーから他の機器を充電しないは、航空局の資料が「法律に基づく禁止事項ではありませんが、行わないよう要請するもの」と書くお願い。スマホは座席の電源で
- この3点は ICAO の国際基準(2026年3月27日)と同じ構造。ただし外国の航空会社はもっと厳しいことがあり、今回確かめた3社は機内での使用そのものを禁止していた。日本を発着しない便は、その国と航空会社のルール
- Wh は「mAh × 定格電圧 ÷ 1,000」。10,000〜20,000mAh クラスの多くは100Wh 以下に収まる
- 100Wh 超は、外国の航空会社で承認が要ることがあり、2027年以降は持ち込めなくなる可能性も案内されている
冒頭の「3つ全部持っていけば安心かな」という人に戻ると、答えはこうなります。
持っていけるのは2つまで。本体の Wh を見て、小さいほうから2つを選べば、多くの場合は新しく買う必要はありません。そして、機内ではモバイルバッテリーを使わない前提で、スマホは出発前と座席の電源で充電しておく。外国の航空会社に乗るなら、その会社のページを一度だけ開いておく。それだけで、空港でも機内でも迷うことはほとんどなくなると思います。
参照した一次情報(2026年10月7日に確認)
- 国土交通省 報道発表「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて~4月24日から新たなルールを適用します~」(令和8年4月14日)と添付資料(別紙1【旅客の皆様へ】・別紙2 定期航空協会の共同プレスリリース):
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000310.html - 国土交通省 航空局「航空局からのお知らせ」通し番号111(令和8年4月23日配信):
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001998054.pdf - 国土交通省「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」別表第18(令和8年4月24日適用):
https://www.mlit.go.jp/common/001388681.pdf - 国土交通省 報道発表「モバイルバッテリーを収納棚に入れないで!」(令和7年7月1日)
- 航空法(e-Gov 法令検索)第86条
- 日本航空「モバイルバッテリーの機内持ち込み個数および充電に関するルール変更についてのお願い(2026年4月24日以降)」(2026年4月14日)
- 全日本空輸「モバイルバッテリーの取り扱い変更について(2026年4月24日搭乗分より)」(2026年4月14日)/「機内持ち込み・お預かりに条件があるもの(国際線)」
- 成田国際空港「バッテリー類の航空機内持ち込みについて」
- UK Civil Aviation Authority「Changes to rules on the carriage of lithium cells/batteries and power banks」
- IATA「Changes Regarding Power Banks — Guidance Document for Operators」(2026年3月31日付)/「Passengers travelling with lithium batteries」
- 大韓航空ニュースルーム(2026年1月23日)/シンガポール航空「Baggage Restrictions」/キャセイパシフィック航空「Batteries」
- 米連邦航空局(FAA)「PackSafe – Lithium Batteries」(2026年8月11日更新)
- Anker Japan 公式サイトの製品仕様(A1638・A1118)と製品回収情報
ルールや各社の案内は変わることがあります。旅行・出張の前に、乗る便の航空会社のページでご確認ください。
あわせて読みたい関連記事



📱 WorkTypesLab公式LINE|Noteメンバーシップ「ひとり経営のAI実践ラボ」月¥500
会員限定記事・連載・バイブルを追加料金なしで読めるnoteメンバーシップ(月¥500)を運営しています。公式LINEでは、新着記事のお知らせをお届けします。
- 🔒 会員限定記事 6本(2026年10月11日時点・単品販売なし)
- 📘 連載「Claude Code × ブログ自動化フルガイド」第1〜9章(単品は各¥300)
- 📗 バイブル3冊(単品は各¥4,980)
- 📩 質問・感想はLINEから直接やりとり可能
※ LINEの友だち登録は、いつでも解除できます
ひとり経営の
AI実践ラボ
note メンバーシップ(月500円)
会員限定記事(2026年10月11日時点で6本)では、このブログの運営で起きた失敗と、そのあと入れた仕組みなどを書いています。
連載「Claude Code × ブログ自動化フルガイド」第1〜9章とバイブル3冊も、メンバーは追加料金なしで読めます。

コメント