たとえば、日曜の午前。ごみの日に向けて引き出しを片付けていたら、使わなくなったモバイルバッテリーが出てきたとします。ケーブルはどこかへ行ってしまったし、いまさら充電してみる気にもなれない。
「小さいし、燃えないごみの袋に入れておけばいいかな」
袋に入れかけたところで、ふと手が止まる。そういえば今年の4月から、モバイルバッテリーはメーカーが回収することになった、とニュースで見た気がする。じゃあ、メーカーに送らないといけないのか。どこのメーカーだったかも、もう覚えていない。よく見ると、少し膨らんでいる気もする……。
この記事は、ちょうどそんなふうに手が止まった人に向けて書いています。片付けの途中で手が止まるのは、それだけ「間違えたくない」と思っているからだと思います。
先に結論を書いておくと、2026年4月1日に変わったのは「メーカーの義務」で、「家庭ごみに出さない」のは前から同じです。メーカーに送るのは、出し先の選択肢の1つ。お住まいの自治体の回収や、家電量販店などにある回収ボックス(JBRC の協力店)も、これまでどおりの出し先です。
もう1つ、先にお断りしておきます。この記事は、実際にモバイルバッテリーを回収に出してみた記録ではありません。e-Gov 法令検索で読める政令と省令の条文(改正の前と後の版)、消費者庁・消防庁・環境省・経済産業省のページ、一般社団法人 JBRC の案内、メーカー5社の公式ページを2026年10月11日に直接開いて、そこに書かれていることだけで整理しました。
この記事を読むと、次の3つが分かります。
- 2026年4月1日に、法令の上で何が変わったのか(変わっていないことも)
- 手元の1台をどこへ出せばいいか。膨らんでいるときはどうするか
- メーカー5社(Anker・エレコム・cheero・UGREEN・CIO)の回収窓口の中身
では、順番に見ていきます。
まず結論|変わったのはメーカーの義務。家庭ごみに出さないのは前から同じ

結論から言うと、手元のモバイルバッテリーを手放すときは、次の表の左の列で自分の1台を当てはめてください。
| 手元の1台の状態 | まず見る出し先 | ひとこと |
|---|---|---|
| 膨らみ・変形・液漏れ・異常な熱がない。メーカー名と電池の種類が読める | 家電量販店などの回収ボックス(JBRC 協力店)か、お住まいの自治体の回収 | JBRC は会員企業の製品が対象 |
| 同じ状態で、メーカーの窓口を使いたい | そのメーカーの回収窓口(郵送・店頭) | 他社製品を受け付けるかは会社ごとに違う |
| 膨らんでいる・変形している・壊れている | お住まいの自治体の案内を最初に確かめる | JBRC の協力店では受け付けていない |
| メーカーが分からない | お住まいの自治体の案内 | 協力店やメーカーの窓口は使いにくい |
| リコール(不具合による製品の回収)の対象だった | そのメーカーのリコールの窓口 | ふつうの回収とは受付が別 |
公式の文書に書かれていることを、4行にまとめるとこうなります。
- 何が:モバイルバッテリー(政令の言葉では「電源装置(リチウム蓄電池を部品として使用するもの)」)が、資源有効利用促進法の「指定再資源化製品」に加わった
- いつから:2026年4月1日。同じ日に、スマートフォンなどの「携帯電話用装置」と「加熱式たばこデバイス」も加わった
- 誰に:モバイルバッテリーを製造する事業者と、輸入して販売する事業者に、使用済み品の回収と再資源化(リサイクル)を求めている
- 消費者には:私が読んだ政令・省令の条文には、消費者に向けた新しい義務は書かれていなかった。自治体の捨て方やメーカーの回収方法を確かめてから出すよう、消費者庁(2026年3月)も消防庁などのポータルサイト(2026年6月)も呼びかけている
私はこの変化を「出口が1つ増えた」話だと受け止めています。自治体の回収、回収ボックスという出口に、メーカーの窓口という出口が、法令の裏付きで加わった。出口が増えたのであって、燃えないごみの袋という出口が開いたわけではありません。
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2026年4月1日に何が変わったか|政令と省令を、前の版と比べてみた

「4月から義務化」と聞くと、それまでは何のルールもなかったように感じます。でも、法令を前の版と比べると、少し違う姿が見えてきました。
前の版にも「電源装置」は載っていた
資源有効利用促進法の施行令(政令)を、e-Gov 法令検索で、2025年4月1日に施行された版と2026年4月1日に施行された版の2つを並べて比べました。
| 項目 | 2026年3月までの版 | 2026年4月1日からの版 |
|---|---|---|
| 指定再資源化製品(政令の別表第六) | 2品目=パソコン(重さ1kg以下のものを除く)、密閉形蓄電池(リチウム蓄電池などの充電式電池) | 5品目=上の2つに、電源装置(リチウム蓄電池を部品として使用するもの)・携帯電話用装置・加熱式たばこデバイスが加わった |
| モバイルバッテリーの位置づけ | 「密閉形蓄電池を部品として使う製品」の1つ(別表第八の「電源装置」) | 製品そのものが指定再資源化製品になった |
| 回収の単位 | 中に入っている電池 | モバイルバッテリー本体 |
| メーカーに向けた基準(省令) | 密閉形蓄電池の回収についての省令(2001年施行) | モバイルバッテリー専用の省令を新しく制定(令和8年経済産業省・環境省令第2号) |
| 国が勧告・命令できる規模 | 電源装置は年1,000台(電池の回収について) | 年間の生産台数または販売台数が1,000台以上(本体の回収について) |
| 改正した政令 | ― | 令和7年政令第412号(2025年12月12日公布・2026年4月1日施行) |
経済産業省のページにも、充電式電池(小形二次電池)は2001年4月から、電池メーカーと、それを使う機器のメーカーに回収・リサイクルが義務付けられている、と書かれています。つまりモバイルバッテリーの中の電池は、前から回収の対象でした。
4月に変わったのは、回収の単位です。これまでの「中の電池」から、「モバイルバッテリーという製品そのもの」になりました。
新しい省令が、メーカーに求めたこと
では、メーカーは具体的に何を求められているのか。2026年4月1日に施行された「モバイルバッテリーの製造等の事業を行う者の使用済モバイルバッテリーの自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」を読むと、こう書かれていました。
| 条文 | 書かれていること(要旨) | 手放す人にとっての意味 |
|---|---|---|
| 第1条 第1項 | 回収する場所の指定や回収ボックスの設置など、回収に必要な措置をとる | メーカーごとに「どこで受け付けるか」を決める |
| 第1条 第2項 | 回収は対価を得ないで行う(正当な理由がある場合と、事業活動で出たものを除く) | 回収そのものは無料が原則。送料をどちらが持つかは会社ごとに確かめる |
| 第1条 第6項 | 回収していることを、製品や取扱説明書への表示・記載などで知らせる | 本体や説明書に回収の案内が載ることが求められている |
| 第1条 第8項 | 回収する場所など、必要な情報を公表する | メーカーのサイトで窓口を探せるはず |
| 第2条 | リチウムやコバルトなどを再生資源にする割合の目標を、電池の重さの30%を下回らない範囲で定める | 回収されたものは素材として取り出される |
| 第4条 | 市町村から引取りを求められたら引き取る。条件を公表し、条件どおり分別されたものは無償で引き取る | 自治体の回収とメーカーがつながる |
ここでの「モバイルバッテリー」は、省令の中で「リチウム蓄電池を部品として使用する電源装置であって、携帯して使用する小型のもの」と定められています。ポータブル電源がこれに当たるかは、この文面だけでは判断できませんでした(Anker の回収サービスのように、ポータブル電源も受け付けている窓口はあります)。
消費者に向けた新しい義務は、条文には書かれていない
義務を負うのは、モバイルバッテリーを「製造」する事業者と「自ら輸入したものを販売」する事業者です(省令 第1条)。さらに、取り組みが著しく足りない事業者に国が勧告・公表・命令までできるのは、年間1,000台以上を生産または販売する事業者で、命令に違反したときの罰則(50万円以下の罰金)も事業者に向けたものです。
消費者については、法律の第5条に「国、地方公共団体及び事業者がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力するものとする」とあるだけでした。
ただし、ごみの出し方には、お住まいの自治体のルールが別にあります。そこは4月の前も後も変わりません。
「自主回収」という言葉は、2つの意味で使われている
ここで1つ、混乱しやすい言葉があります。「自主回収」です。
- 法令の「自主回収」:使い終わった製品を、メーカーが自ら(または委託して)回収すること。法律の第2条で、この意味で定義されています
- ニュースの「自主回収」:不具合のある製品を、メーカーが呼び戻すこと。いわゆるリコールです
スーパーの店頭で牛乳パックを回収しているのと、ニュースで「○○乳業が牛乳を自主回収」と報じられるのとでは、同じ「回収」でも中身がまったく違いますよね。モバイルバッテリーでも同じことが起きています。たとえば Anker の公式サイトの「製品回収情報」に並んでいるのは、不具合のある製品の回収(リコール)の受付フォームで、品番とシリアル番号で対象かどうかを確かめる形になっていました。使い終わった製品の回収サービスは、それとは別のページです。
リコールの対象なら、交換や返金の案内があることもあります。確かめ方は次の章に書きます。
手放す前に確かめる3つ|膨らみ・メーカー名・リコール

出し先を探す前に、手元の1台を3つの点から見ておくと、迷う時間が減ります。
① 膨らみ・熱・におい・液漏れがないか
消防庁の「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」(消防庁・消費者庁・経済産業省・国土交通省・環境省が2026年6月18日に公開)は、次の5つを「異常が起こったときのサイン」として挙げています。
- 持てないほど熱い、充電中に異常に発熱する
- 本体が膨らんでいる、変形している
- 変なにおいがする、パチパチと音がする
- 液体が漏れ出している
- 充電が急に終わる、突然電源が切れる
1つでも当てはまったら、同じページの言葉どおり「まだ動くから」と使い続けず、使うのも充電するのもやめます。分解もしません。
膨らんだ缶詰を家で開けないのと同じで、膨らんだ電池は自分で何とかしようとしないのがいちばんです。出し先は後の章で書きます。
② メーカー名と電池の種類が読めるか
次に、本体の表示を見ます。見るのは3つです。
- メーカー名(法人名)
- 電池の種類(リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池など)
- リサイクルマーク(3本の矢印のマーク)
JBRC の案内によると、リサイクルマークがなくても、JBRC 会員のメーカー名と電池の種類が書いてあれば、回収ボックスの対象になります。逆に、メーカー名も電池の種類も読めないものは、回収ボックスには出せないと考えておくのが確実です。
JBRC の会員一覧(2026年10月11日に確認・448社)には、アンカー・ジャパン、エレコム、株式会社CIO、cheero を販売するティ・アール・エイの名前がありました。UGREEN は、「UGREEN」「ユーグリーン」の表記で探しましたが、一覧の中に見つけられませんでした。
③ リコールの対象になっていないか
最後に、手元の1台がリコールの対象になっていないかを確かめます。消防庁のポータルサイトは、確認先として次を挙げています。
- 各メーカー・販売事業者のサイト
- 消費者庁「リコール情報サイト」
- 経済産業省「リコール情報」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「SAFE-Lite」
型番は、本体の裏や側面に書かれていることが多いです。対象だったら、ふつうの回収ではなく、そのメーカーのリコールの窓口へ連絡します。
出し先を選ぶ|自治体・回収ボックス・メーカーの窓口

出し先は、大きく分けて4つあります。
| 出し先 | 受け付けるもの | 膨らんだもの・壊れたもの | 手間と費用 | 探し方 |
|---|---|---|---|---|
| お住まいの自治体の回収 | 自治体ごとに違う | 回収方法を明示している市町村は41.3%(2025年度) | 自治体ごとに違う | 「○○市 リチウムイオン電池 捨て方」などで検索 |
| 回収ボックス(JBRC 協力店) | JBRC 会員企業の製品。モバイルバッテリーは本体ごと | 受け付けない | 持ち込む。費用はかからない | JBRC「協力店・協力自治体検索」 |
| メーカーの郵送窓口 | 原則そのメーカーの製品(他社製品を受ける会社もある) | 会社ごとに違う | 送料の負担は会社ごとに違う | メーカーの公式サイト |
| メーカー・販売店の店頭 | 店ごとに違う | 店ごとに違う | 持ち込む | メーカー・店の公式サイト |
自治体の回収|86.2%の市町村が回収。ただし方法は地域で違う
環境省が2026年9月29日に公表した調査(全国1,741市町村が回答・回答率100%)によると、2025年度にリチウムイオン電池またはそれを使った製品を回収している市町村は86.2%で、前の年度より8.9ポイント増えました。
一方で、分別回収をしていない市町村も240(13.8%)ありました。回収の方法もさまざまで、電池単体では「清掃工場への持ち込み」が57.9%でいちばん多く、次いで「市町村役場などの窓口への持ち込み」「ステーション回収(戸別回収を含む)」の順でした。
つまり、「自治体に出せばいい」のは多くの地域で正しいけれど、出し方は地域ごとに違うということです。ごみステーションに出せる地域もあれば、清掃工場や役所の窓口まで持ち込む地域もあります。
消費者庁と消防庁は、どちらも「○○市 リチウムイオン電池 捨て方」のように検索して、自分の自治体の案内を確かめるよう勧めています。見つからないときは「小型充電式電池」「モバイルバッテリー」など、呼び方を変えて探してみてください。
なお、環境省は2025年4月15日の通知で、市町村に対して、家庭から出るすべてのリチウムイオン電池などの回収体制をつくるよう求めています。メーカーの自主回収の対象品だけでなく、自主回収をしていない電池や、膨張・変形した電池の出し方も住民に示すことが挙げられていました(この通知は「技術的な助言」という位置づけです)。
回収ボックス(JBRC 協力店)|会員企業の製品を、本体ごと
家電量販店やホームセンターなどで見かける黄色い回収ボックスは、一般社団法人 JBRC の「協力店」です。JBRC の案内で確かめた条件は次のとおりでした。
- 対象は、JBRC 会員企業の小型充電式電池(ニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池)
- モバイルバッテリーは、携帯電話・スマートフォンへの充電を主な機能とするものに限って本体ごと回収。分解して電池を取り出さない
- 対象外は、破損・膨張・水濡れした電池、解体された電池パック、ハードケースに入っていないラミネートタイプの電池など。対象外のものは「自治体またはメーカーに相談」と案内されている
協力店は、JBRC のサイトの「協力店・協力自治体検索」で探せます。回収ボックスが店の目立つ場所に置かれていないこともあるので、見当たらないときは店員さんに聞いてみてください。
メーカーの窓口|5社の公式ページを確かめた
4月以降、メーカーの窓口は実際にどうなっているのか。国内でよく見かける5社の公式ページを、2026年10月11日に開きました。
| 会社 | 窓口の形 | 送料 | 他社製品 | 膨らんだもの | JBRC 会員一覧 |
|---|---|---|---|---|---|
| Anker(アンカー・ジャパン) | 郵送(回収サービス係あて) | 送る側が負担(元払い。着払いは受け取らない) | 受け付けない | 「故障・破損している製品」は対象と明記。膨張は書かれていない | 名前あり |
| エレコム | 郵送(エレコム修理センター)と、直営店「エレコムデザインショップ」での店頭回収 | 郵送は元払い。店頭は無償 | 郵送はエレコム製のみ。店頭は JBRC 加盟企業の製品なら受け付ける | 修理センターは「膨張したものも回収対象(2025年11月時点の案内)」 | 名前あり |
| cheero(ティ・アール・エイ) | 公式の処分方法のページは JBRC 協力店を案内 | ― | ― | 同じページでは「現在検討」と書かれていた | 名前あり |
| UGREEN | 郵送(公式サイトから申し込み) | UGREEN が負担 | UGREEN ブランドのみ | 膨張・液漏れ・異常発熱・著しい破損は、輸送の安全のため受け付けられない場合がある | 見つけられなかった |
| CIO | 郵送(会員登録して申し込み・専用の返送用封筒) | 私が読んだページには書かれていなかった(着払いは受け取らない) | 他社製品用の窓口もある | 「膨張している場合は問い合わせ」 | 名前あり |
表を作ってみて、気づいたことが3つあります。
1つ目は、送料の扱いが会社によって逆だということです。Anker とエレコムの郵送は送る側の負担(元払い)で、UGREEN は会社の負担でした。省令の「対価を得ないで」は回収そのものの話で、送料まで決めているわけではないようです。
2つ目は、Anker と UGREEN は、どちらも自治体を先に勧めていることです。Anker の回収のページには「お住まいの自治体にて廃棄可能な場合、自治体での廃棄をお願いいたします」とあり、UGREEN のページも、自治体を通した回収・処分を「おすすめ」として最初に挙げていました。メーカーの窓口は、自治体で出せないときの受け皿として用意されている、という読み方もできます。
3つ目は、4月の改正のあとに書き直されたと分かるページは見つからなかったことです。日付が分かったのは3社で、エレコムのページは「2026年3月時点の情報」、CIO のページは記録された更新日が2024年7月、cheero の処分方法のページは2021年6月の公開のままでした。cheero の公式サイトでは、サイト内検索で「回収」を引いても、出てきたのはリコール品の受付フォームだけで、使用済み品を郵送で受け付ける窓口は見つけられませんでした。窓口の情報は、これから変わる可能性があります。送る前に、その会社の最新のページを開いてください。
店頭での回収|他社製品や膨らんだものも受け付ける実証もある
メーカーや販売店の店頭で回収している例もあります。エレコムデザインショップの店頭回収は、表に書いたとおりです。
もう1つ、地域を限った例として、埼玉県内の Anker Store 4店舗では、埼玉県・Anker Japan・松田産業の連携による店頭回収の実証が、2026年10月1日から12月23日まで(予定)行われています。埼玉県と Anker Japan の発表によると、対象はモバイルバッテリー・ワイヤレスイヤホン・加熱式/電子たばこの3品目で、他社製品も、膨張したモバイルバッテリーも対象です。持ち込むときは残量をゼロにし、膨張したものは分解せずにそのまま持ち込むよう案内されています。
これは埼玉県内の4店舗に限った、期間つきの取り組みです。ほかの地域の店舗で同じように受け付けているわけではないので、近くの店で出せるかは、その店の案内で確かめてください。
膨らんだ・壊れたモバイルバッテリーの出し方

いちばん迷うのが、膨らんでしまった1台だと思います。ここは、確かめた範囲をそのまま書きます。
出せる先は、いまのところ限られている
前の章の表から、膨らんだものの扱いだけを抜き出すと、こうなります。
- JBRC の回収ボックス:受け付けない
- 自治体:回収方法を明示している市町村は41.3%(2025年度・環境省の調査)
- メーカーの郵送窓口:エレコム製はエレコム修理センターが対象(2025年11月時点の案内)。UGREEN は受け付けられない場合があり、CIO は問い合わせ。Anker は膨張について書かれていないので、送る前に問い合わせる
- 店頭:埼玉県内の Anker Store 4店舗の実証では、他社製品を含めて対象(2026年12月23日まで・予定)
環境省の41.3%という数字には注意書きがあって、「回収していない」の側には、回収方法を明示していないけれど、住民が持ち込めば受け付けている市町村も含まれています。ページに書いていなくても、清掃事務所などに問い合わせると受け付けてもらえる場合がある、ということです。
順番は「自治体の案内」→「メーカーに問い合わせ」
私が勧めたい順番は、次のとおりです。
- 使うのも充電するのもやめる。端子に絶縁テープを貼り、ほかの電池や金属と触れないようにしておく
- お住まいの自治体の案内で、「膨張」「変形」した電池の出し方を探す。見つからなければ清掃担当の窓口に問い合わせる
- 自治体で出せない場合は、そのメーカーの窓口に問い合わせる。郵送してよいかは、送る前に必ず聞く
郵送を後ろにしたのは、UGREEN のページが「輸送中の安全問題などを考慮し」と書いていたように、膨らんだ電池の輸送には慎重な会社があるからです。
国も、この部分はまだ整備の途中です。消防庁のポータルサイトには、膨張・変形したリチウムイオン電池について、市町村・製造事業者・処理事業者・有識者を含む検討会で、回収から保管・処理までの方針をまとめる、と書かれていました。出し先が少ないのは、あなたの探し方が足りないからではありません。
出す日の準備|使い切る・端子を絶縁する・まとめて入れない

出し先が決まったら、出す日の準備です。消費者庁・消防庁・JBRC・環境省の案内をまとめると、こうなります。
| 順番 | やること | 案内しているところ |
|---|---|---|
| 1 | 電池を使い切る(電池切れで動かなくなるまで使う、または十分に放置する)。膨らんでいるものは、使って減らそうとしない | 消費者庁、消防庁のポータルサイト |
| 2 | 端子(USB の差し込み口など)に絶縁テープを貼る | 消費者庁、JBRC、エレコム |
| 3 | ほかの電池や金属と触れ合わないようにする | エレコム(端子が金属に触れるとショートのおそれ)、JBRC(短絡防止) |
| 4 | 膨らんだものは、ほかの電池と一緒にしない | 環境省の通知(市町村に別回収を求めている) |
| 5 | 郵送するときは、メーカーの指示どおりに梱包して品名を書く | 各メーカーの回収ページ(例:Anker は品名を「リチウムイオン電池」と書くよう案内) |
「使い切る」は、電池が残っていると発火のリスクが上がるから
消費者庁のページには、電池に残量があると発火するリスクが高まるので、なるべく使い切ってから捨てるように、と書かれています。消防庁のポータルサイトも、放電して残量をゼロにすることで発火リスクを抑えられる、と説明していました。
テープは、エレコムの案内の言葉でいえば「絶縁テープ(非通電のテープ)」、つまり電気を通さないテープを使います。JBRC の資料にも、モバイルバッテリーの端子部をテープで覆う例が載っていました。USB の差し込み口が複数ある製品は、すべての口をふさいでおくと安心です。
自治体ごとの「袋」の指定にも従う
環境省は市町村に向けて、雨の日も考えて透明な袋で出してもらう方法などを検討するよう求めています。袋の指定や出せる日は自治体ごとに違うので、ここも自治体の案内どおりにしてください。
この準備の意味は、数字を見ると分かります。環境省の同じ調査では、2025年度に廃棄物の処理の現場で、リチウムイオン電池などが原因と疑われる火災事故等(発煙・発火を含む)が39,282件あり、そのうち9,456件は職員や消防隊による消火が必要でした。テープ1枚と、使い切るひと手間が、この数字を減らす側に回ります。
買い替えるなら|買わなくていい人と、回収の窓口で選ぶ視点

最後に、買い替えの話です。先に、買い替えなくていい人から書きます。
買い替えなくていい人
- 膨らみ・異常な熱・においがなく、容量に不満がない人。4月の改正で、手元のモバイルバッテリーが使えなくなったわけではありません。指定再資源化製品になったのは「使い終わったあとの回収」の話です
- 2台以上持っていて、1台を手放すだけの人。新しく買う理由はありません
- 「4月から変わったらしい」という理由だけで迷っている人。変わったのはメーカーの回収の義務で、手元の1台を使い続けてよいかどうかの話ではありません
なお、飛行機に持ち込めるモバイルバッテリーのルールも2026年4月に変わっていますが、これは別の話です。機内のルールは、当サイトの機内ルールの記事で整理しています。
買い替える人が、選ぶときに見ておきたいこと
膨らんでしまった、容量が足りなくなった、という人は、次に選ぶ1台で「手放すときのこと」も見ておくと、数年後に迷いません。
- メーカーが回収の窓口を公表しているか。省令は、回収する場所などの情報の公表をメーカーに求めています。公式サイトに回収のページがあるかは、買う前に確かめられます
- JBRC の会員か。会員企業の製品なら、協力店の回収ボックスに出せます(膨らんでいないことが前提)
- 本体にメーカー名と電池の種類が書かれているか。手放すときに、どの出し先でも最初に見られるところです
- リコールの情報をきちんと出しているか。不具合が見つかったときに、自分の1台が対象かを調べられるかどうかです
条件に当てはめた例
たとえば Anker の場合、自社製のモバイルバッテリーは、保証期間を過ぎたもの・故障や破損したもの・中古で買ったものも含めて、郵送の回収サービスの対象です(送料は送る側の負担)。JBRC の会員一覧にも、アンカー・ジャパンの名前がありました。
現行の10,000mAh クラスの例として、公式サイトに重さ約230g と書かれている Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-C ケーブル)を挙げておきます。「これが一番」という意味ではなく、上の条件を満たす1台がどんな姿かを示すための例です。
Amazonで見る:Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-Cケーブル)
Anker 以外も含めて、メーカーごとの違いを比べてから決めたい人は、UGREEN と Anker の比較記事で整理しています。価格はセールや時期で動くので、この記事には書いていません。
よくある質問
- モバイルバッテリーは燃えないごみに出してもいいですか?
-
家庭ごみ(燃えるごみ・燃えないごみ)には出さないでください。エレコムの案内も「家庭ごみに捨てないでください」と書いていて、消費者庁も消防庁も、自治体の捨て方やメーカーの回収方法を確かめてから捨てるよう案内しています。環境省の調査でも、廃棄物の処理の現場で起きた火災事故等の品目ではモバイルバッテリーがいちばん多く、ごみの区分では「不燃ごみ」がいちばん多く挙がっていました。自治体によって、ごみの日に分けて出せる地域、清掃工場や役所の窓口へ持ち込む地域など、出し方が違います。「○○市 リチウムイオン電池 捨て方」で検索すると、自分の自治体の案内が見つかりやすいです。
- 2026年4月から、捨てるのにお金がかかるようになりましたか?
-
メーカーの回収は、無料が原則です。省令は、メーカーが「対価を得ないで」回収するよう定めています。ただし送料の扱いは会社ごとに違い、今回確かめた範囲では、Anker とエレコムの郵送は送る側の負担(元払い)、UGREEN は会社の負担でした。自治体の回収や JBRC の回収ボックスの費用は、それぞれの案内で確かめてください。
- メーカーが分からないモバイルバッテリーは、どこに出せばいいですか?
-
お住まいの自治体の案内を確かめてください。JBRC の回収ボックスは会員企業の製品が対象で、メーカーの窓口も基本は自社製品だけです。環境省は市町村に対して、メーカーが自主回収をしていない電池の出し方も住民に示すよう求めています。
- 膨らんだモバイルバッテリーは、どこに出せばいいですか?
-
まず使うのも充電するのもやめて、自治体の案内を確かめます。JBRC の回収ボックスでは受け付けていません。膨張したものの回収方法を明示している市町村は41.3%(2025年度)で、明示していなくても持ち込めば受け付ける市町村もあります。メーカーの郵送窓口は対応が分かれるので、送る前に問い合わせてください。
- ニュースで「モバイルバッテリーを自主回収」と見ました。手元の製品も対象ですか?
-
そのニュースは、リコールの話のことが多いです。不具合のある製品の呼び戻しで、対象は型番やシリアル番号で決まっています。消費者庁の「リコール情報サイト」やメーカーのサイトで、手元の1台が対象かを確かめてください。対象なら、ふつうの回収ではなく、リコールの窓口へ連絡します。
- 捨てる前に電池を使い切るのは、空のまま置くと劣化するという話と矛盾しませんか?
-
場面が違うので、矛盾しません。「空のまま長く置かない」のは、これからも使う電池を保管するときの話です。「使い切る」のは、手放す直前の話で、消費者庁は、電池に残量があると発火するリスクが高まるので、なるべく使い切ってから捨てるよう案内しています。
- スマートフォンや加熱式たばこも、4月から同じ扱いになりましたか?
-
同じ2026年4月1日に、指定再資源化製品に加わりました。政令の表に「携帯電話用装置」と「加熱式たばこデバイス」が追加されています。ただし、この記事で窓口まで確かめたのはモバイルバッテリーだけです。スマートフォンや加熱式たばこの出し先は、それぞれのメーカー・販売店・自治体の案内で確かめてください。
まとめ|家庭ごみに出さないのは前と同じ。迷ったら自治体の案内から

この記事で確かめたことを並べます。
- 2026年4月1日、モバイルバッテリー(電源装置)が資源有効利用促進法の指定再資源化製品に加わった。中の電池は前から回収の対象で、回収の単位が本体になった
- 新しい省令は、メーカーと輸入販売事業者に、無償での回収・回収場所の公表・製品や説明書での表示・再資源化の目標(電池の重さの30%以上)・市町村からの引取りを求めている
- 私が読んだ条文には、消費者に向けた新しい義務は書かれていなかった。家庭ごみに出さないのは、前から同じ
- 出し先は、自治体の回収・JBRC の回収ボックス・メーカーの窓口・店頭の回収の4つ。回収している市町村は86.2%だが、出し方は地域ごとに違う
- メーカー5社の窓口は、送料・他社製品・膨らんだものの扱いがそれぞれ違った。Anker と UGREEN は、自治体での処分を先に勧めていた
- 膨らんだものはJBRC の回収ボックスに出せない。自治体の案内を先に確かめ、郵送は送る前にメーカーに聞く
- 出す日は、使い切る・端子に絶縁テープ・1個ずつ分ける
冒頭の「燃えないごみの袋に入れかけた」人に戻ると、答えはこうなります。
袋から出して、まず膨らみとメーカー名を見てください。膨らんでいなくて、メーカー名が読めるなら、近くの回収ボックスか自治体の回収へ。膨らんでいたら、自治体の案内を探してから、必要ならメーカーに問い合わせる。メーカーに送るのは、4月から増えた出口の1つで、送らなければいけないわけではありません。
参照した一次情報(2026年10月11日に確認)
- e-Gov 法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律施行令」(平成3年政令第327号)の2025年4月1日施行の版と2026年4月1日施行の版(改正=令和7年政令第412号):
https://laws.e-gov.go.jp/law/403CO0000000327 - e-Gov 法令検索「モバイルバッテリーの製造等の事業を行う者の使用済モバイルバッテリーの自主回収及び再資源化に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」(令和8年経済産業省・環境省令第2号):
https://laws.e-gov.go.jp/law/508M60001400002 - e-Gov 法令検索「資源の有効な利用の促進に関する法律」(平成3年法律第48号)第2条・第5条・第53条・第59条:
https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000048 - 経済産業省「小形二次電池のリサイクル」:
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index05.html - 消費者庁「Vol.681 リチウムイオン電池は、正しく捨てる そして 資源循環!」(2026年3月13日):
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20260313/ - 消防庁ほか「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」(捨てるとき・使うとき・廃棄時の対策):
https://www.fdma.go.jp/relocation/lithium-ion/ - 環境省「市町村におけるリチウムイオン電池等の処理状況調査結果(令和7年度実績)及び関連事例集の公表について」(2026年9月29日):
https://www.env.go.jp/press/press_05588.html - 環境省「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について(通知)」(2025年4月15日):環境省 リチウムイオン電池等に関する特設サイトの自治体等向けページ
- 一般社団法人 JBRC「Q&A」「排出方法(回収対象、対象外説明)」「協力店・協力自治体検索」「会員一覧」:
https://www.jbrc.com/ - アンカー・ジャパン「Anker モバイルバッテリー/ポータブル電源回収サービス」・Anker Nano Power Bank(10000mAh, 45W, 巻取り式 USB-C ケーブル)の製品ページ
- アンカー・ジャパン プレスリリース(2026年9月1日)と埼玉県「令和8年度 リチウムイオン電池等の店頭回収の実証」のページ
- エレコム「使わなくなったモバイルバッテリーはどうすればいい?安全な回収方法ガイド」
- ティ・アール・エイ(cheero)「使用済みモバイルバッテリーの処分方法」
- UGREEN Japan「モバイルバッテリーの回収・処分について」
- CIO「自社MB回収サービス」「他社MB回収サービス」
制度や各社の案内は変わることがあります。出す前に、お住まいの自治体の案内と、メーカーの最新のページでご確認ください。
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