会計ソフトの料金を3社で並べたら「安い順」では選べなかった|弥生・freee・マネーフォワード2026

ノートパソコンで3社の料金表を見比べている在宅ワークの机
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会計ソフトの公式サイトを開くと、どこにも同じような数字が並んでいます。「月額980円から」「月々900円から」「月額換算983円から」。

3社ともほぼ同じ値段に見えるので、私は最初、正直どうでもよくなりました。どれを選んでも月1,000円くらいでしょ、と。

でも、実際に3社の料金ページを開いて、プランごとに数字を書き写していったら、その「1,000円くらい」がまったく同じ意味ではないことが分かってきました。ある会社ではその値段で消費税の申告ができず、ある会社ではその値段は1年分まとめて払った人だけの価格で、月ごとに払うと1.8倍になりました。

さらに調べていくうちに、もっと大きな話にぶつかりました。2027年分の確定申告から、青色申告特別控除の条件そのものが変わります。人によっては、これまで受けられていた10万円の控除が0円になります。そうなると「ソフト代を年1万円ケチった結果、控除を10万円失う」という逆転が起きます。

この記事では、弥生・freee・マネーフォワードの3社の料金表を同じ条件に揃えて並べ直します。そのうえで、料金表のどこにも書いていないのに金額より効いてくる条件を、国税庁と各社の公式情報から引っぱってきて整理します。

「安い順に選べばいい」と思っている人ほど、読み終わったあとで選ぶ順番が変わると思います。

📌 この記事の価格の前提

本記事の価格はすべて2026年8月23日時点・税抜で、各社の公式料金ページを直接確認した数字です。会計ソフトの料金プランは改定されることがあるので、申し込み前に必ず公式サイトの最新価格をご確認ください。

目次

まず結論:料金表は「3か所」揃えないと比較にならない

契約期間・消費税の申告・初年度か2年目かの3枚のカードを並べた図

先に結論だけ書きます。会計ソフトの料金を比べるときに揃えるべきなのは、次の3つです。

  1. 契約期間(年払いか、月払いか)
  2. 消費税の申告ができるかどうか(インボイス登録済みなら必須)
  3. 初年度か、2年目以降か(キャンペーンで初年度だけ別世界になる)

この3つを揃えずに「980円 vs 900円 vs 983円」を見比べても、比べているものが違います。服のサイズを見ずに値札だけ見ているのと同じで、安く買えた気になっても着られなければ意味がありません。

そして、揃えて並べ直すと順位が変わります。ここから順番に見ていきます。

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①「〜円から」の正体は、3社とも年払いの最安プランだった

年払いと月払いを左右に並べ、月払いのほうが高くなることを矢印で示した図

まず契約期間です。3社の公式ページに出ている「〜円から」を確認したところ、3社とも「年払い(1年分まとめ払い)の、いちばん安いプラン」の金額でした。売り方まで揃っています。

では、月ごとに払いたい人はいくらになるのか。個人事業主向けプランを並べます。

会社・プラン年払い(月あたり)月払い月払いだと
freee スターター980円1,780円1.82倍
freee スタンダード1,980円2,980円1.51倍
マネーフォワード パーソナルミニ900円1,280円1.42倍
マネーフォワード パーソナル1,280円1,680円1.31倍
やよいの青色申告 オンライン セルフ983円(年11,800円)月払いなし

※すべて税抜。2026年8月23日に各社公式料金ページで確認。

数字にすると分かりやすいと思います。freeeのスターターは、月ごとに払うと980円が1,780円になります。年間で見ると11,760円と21,360円で、9,600円の差です。会計ソフトをもう1本買える金額が、支払い方の違いだけで消えます。

さらに、3社とも上位プランには月払いそのものが存在しません。freeeのプレミアム・入力おまかせ、マネーフォワードのパーソナルプラスは年払い専用です。やよいの青色申告 オンラインにいたっては、全プランが年間契約で、そもそも月払いという選択肢がありません

「まず1か月試して、合わなければやめる」は成立しにくい

ここが実務的にいちばん効くところです。会計ソフトは「とりあえず1か月使ってみて、合わなければ乗り換えよう」と考えがちですが、その使い方をすると各社がいちばん高い価格を提示してくる構造になっています。

私自身、ツールを選ぶときは「まず月払いで試して、良ければ年払いに切り替える」をよくやります。ただ会計ソフトについては、その1か月あたりの割高分が、年換算で1万円近い差になります。試用のコストとしては、けっこう重い。

なので現実的には、無料お試し期間(各社にあります)でしっかり触って、続ける前提が固まってから年払いで入るほうが、金額のロスは小さくなります。逆に言えば、「年払いしか実質的な選択肢がない」ことを前提に、1年使うつもりで選ぶのが正しい構え方です。

② 最安プラン3つのうち、2つは消費税の申告ができない

3社の最安プランで消費税の申告可否をマルバツで比べたカード

次に「同じ値段で何ができるか」です。ここで大きく崩れます。

3社の最安プランで、消費税の確定申告ができるかを確認しました。

会社・最安プラン消費税の申告
freee スターターできない(スタンダード以上)
マネーフォワード パーソナルミニできない(パーソナル以上)
やよいの青色申告 オンライン セルフできる(全プラン同じ機能)

インボイス制度に登録している人は、課税事業者なので消費税の申告が必要です。つまりインボイス登録済みの人にとって、freeeスターターとマネーフォワードのパーソナルミニは、そもそも候補から外れます。

これを踏まえて「消費税の申告ができるプランの中での最安」を並べ直すと、順位が変わります。

会社・プラン年額(税抜・年払い・2年目以降)
やよいの青色申告 オンライン セルフ11,800円
マネーフォワード パーソナル15,360円
freee スタンダード23,760円

さっきまで「980円 vs 900円 vs 983円」で横一線に見えていたのに、条件を揃えた瞬間に年1万円以上の差が出ます。freeeスタンダードと弥生セルフでは、年間で11,960円ちがいます。

インボイス登録していない人は、話が別

もちろん、免税事業者のままで消費税の申告が要らない人なら、最安プランのままで問題ありません。その場合はマネーフォワードのパーソナルミニ(年10,800円)がいちばん安く、freeeスターター(年11,760円)、弥生セルフ(年11,800円・ただし初年度無料)と続きます。

ここは自分がどちらなのかで、見るべき行がまるごと変わります。「みんなが安いと言っているから」で選ぶと、自分に必要な機能が入っていない価格帯を見てしまうわけです。

インボイス対応そのものの負担を減らす話は、別記事にまとめています。

③ 弥生は「サポート」で、freee・MFは「機能」で値段が変わる

サポートの範囲で値段が変わる場合と、使える機能で値段が変わる場合を並べた図

3社の料金表を並べていて、いちばん驚いたのがここです。プランを上げたときに増えるものが、会社によって違います。

弥生の公式FAQには、「どのプランでも製品機能はすべて同じ」とはっきり書かれています。セルフ・ベーシック・トータルの差はサポートの範囲だけです。

  • セルフ:Web上のFAQのみ
  • ベーシック:+電話・メール・チャットサポート(電話は契約期間中10回まで)
  • トータル:+仕訳相談・経理業務相談・確定申告相談

一方、freeeとマネーフォワードは機能でプランが分かれます。消費税申告、レシート撮影の枚数、電話サポートの有無などが段階的に増えていきます。

上位プランで増えるもの
弥生サポートの手厚さだけ(機能は全プラン共通)
freee消費税申告・レシート枚数・電話サポートなどの機能
マネーフォワード消費税申告・レシート枚数・電話サポートなどの機能

つまり、同じ2万円台を払っていても、買っているものが違います。弥生の上位プランに払う2万円は「困ったときに人に聞ける権利」で、freeeの上位プランに払う2万円は「使える機能の数」です。

これは携帯電話のプランに似ていて、片方は通信量で値段が変わり、もう片方は店頭サポートの手厚さで値段が変わる、みたいな話です。表を横に並べて金額だけ見比べても比較にならないのは、このためです。

どっちが良いという話ではなく、どっちが要るか

私の感覚だと、こうです。

  • 簿記の知識がある、または調べながら自分で解決できる人 → 弥生セルフのように「機能は全部入りでサポートは最小」が、いちばん無駄がない
  • 仕訳のたびに手が止まる、聞ける相手がほしい人 → 弥生ベーシック以上のように、サポートに払う設計のほうが結果的に安い(時間で回収できる)
  • レシートを大量に撮る、口座連携をフル活用したい人 → 機能で値段が決まるfreee・マネーフォワードのほうが、必要な分だけ買える

会計ソフトそのものの選び方については、AI機能の観点から比較した記事も置いています。料金で絞り込んだあとに、こちらで使い勝手を見てもらうと精度が上がります。

④ 初年度と2年目で、順位が入れ替わる

初年度と2年目以降で順番が入れ替わる様子を線で結んだ図

3つめの軸が「いつの料金を見ているか」です。ここは弥生のキャンペーンの影響が大きく、初年度と2年目でランキングがひっくり返ります。

やよいの青色申告 オンラインは、セルフとベーシックが初年度1年間無料、トータルが初年度半額(年19,800円)です。これは期間限定ではなく継続的に実施されているキャンペーンですが、2027年3月15日までの申し込み分という区切りがあります(1事業者1回・自動更新の決済方法登録が条件・更新前のキャンセルは可能)。

消費税の申告ができるプランで揃えて、2年分の合計を出すとこうなります。

プラン初年度2年目2年合計
やよいの青色申告 オンライン セルフ0円11,800円11,800円
マネーフォワード パーソナル15,360円15,360円30,720円
freee スタンダード23,760円23,760円47,520円

※すべて税抜・年払い。2026年8月23日時点。

2年で見ると、弥生セルフとfreeeスタンダードの差は35,720円です。月あたりに直すと約1,490円の差で、これは「もう1本サブスクを契約できる」レベルの金額差です。

ただし、ここで初年度無料だけを見て決めるのは危険だと思っています。会計ソフトは一度データを入れると乗り換えコストが高いので、実際には数年使うことになります。判断すべきは「2年目以降にいくら払い続けるか」で、初年度無料はそのうえでのボーナスと考えるくらいがちょうどいいはずです。

📗 初年度0円で始められる(やよいの青色申告 オンライン)

全プランで製品機能が同じなので、最安のセルフでも消費税申告・インボイス・e-Taxまで使えます。セルフとベーシックは初年度1年間無料(2027年3月15日までの申し込み分・1事業者1回)。最新の料金とキャンペーン条件は公式サイトでご確認ください。

やよいの青色申告 オンラインの料金を公式サイトで見る

⑤ 2027年分から「会計ソフトが要る年」が来る

確定申告書とカレンダーを背景に、記帳方法によって控除が変わることを示した図

ここからが、料金表を見ているだけでは絶対に気づけない部分です。

国税庁のリーフレット「簡易簿記による10万円の青色申告特別控除を適用している皆様へ」(令和8年4月)に、令和9年分(=2027年分)以後の改正内容が書かれていました。要点はこうです。

前々年の収入金額改正前(簡易簿記)改正後(簡易簿記)
1,000万円超10万円控除0円(控除なし)
1,000万円以下10万円控除10万円控除

つまり、前々年の収入が1,000万円を超えている人が、これまでどおり簡易簿記で申告すると、青色申告特別控除が10万円から0円になります。

そのうえで、複式簿記+e-Taxでの申告なら65万円、さらに「優良な電子帳簿」の要件を満たせば75万円の控除が受けられる、という組み立てになっています。

なぜ「安い順」の発想が崩れるのか

ここが逆転ポイントです。

仮に控除が10万円から0円になると、課税所得が10万円増えます。所得税・住民税を合わせた負担が仮に20%〜30%だとすれば、手元から出ていくお金は年2万〜3万円増える計算になります。一方、いちばん高いプランを選んでも会計ソフト代は年2万〜5万円です。

ソフト代を1万円安くした結果、控除を失って税金が2万円増えるなら、それは節約ではありません。「安い会計ソフトを選ぶ」より「複式簿記で申告できる状態を作る」ほうが、金額のインパクトが大きい局面が来るということです。

ちなみに、このリーフレットには国税庁自身の言葉として、複式簿記には会計ソフトが便利であること、クラウド会計ソフトには銀行口座との自動連携やレシートのスキャン機能があること、そして小規模事業者向けの補助金が使えることまで書かれています。国が「ソフトを使ってください」と言っている状態です。

⚠ 裏が取れなかったので書かなかったこと

検索していると「令和9年分以降は書面で申告した場合の控除上限が10万円になる」という説明も見かけますが、私が確認した国税庁のリーフレットにはその記載がありませんでした。一次情報で裏が取れていないので、この記事では書きません。ご自身の申告方法で判断が必要な場合は、税務署または顧問税理士にご確認ください。

日々の記帳をどうやってラクにするかは、経理の工程を仕組み化した記事にまとめています。

⑥ 75万円を狙うなら、料金表に出てこない条件が2つある

期のはじめの設定・1年間の記帳・期限までの届出という3段階のフロー図

では「優良な電子帳簿」で75万円を狙うとして、どのソフトを買えばいいのか。ここで各社の公式ヘルプを全部読みにいったのですが、料金表には一行も書かれていない条件が2つ出てきました。

条件1:期の途中からでは、間に合わない

これが最大の落とし穴です。3社とも「優良な電子帳簿」は設定をONにして初めて有効になり、しかもONにする前にさかのぼって履歴を作ることはできません。各社の公式ヘルプの記載を並べます。

会社設定場所期の途中でONにしたら
freee[その他設定]→[事業所の詳細設定]→「優良電子帳簿」を「使用する」「期初に設定を行ってください。ONにする以前に遡って履歴を取得することはできません」
マネーフォワード「各種設定」→「事業者」→「仕訳履歴保存機能を利用する」「1件でも仕訳が登録されている場合はチェックを入れることができません」
弥生[設定]→[全体の設定]→[優良な電子帳簿の設定]→「使用する」「2025年分は履歴記録が途中からとなるため適用外」(弥生自身の案内)

マネーフォワードにいたっては、仕訳が1件でも入っているとチェックボックスが押せません。つまり「今年の分を今から優良な電子帳簿にする」ことは、原則できないということです。

これは、確定申告の直前に慌てて始めても手遅れだという意味です。ソフトを買う日ではなく、事業年度の頭に設定が済んでいるかで決まります。個人事業主なら1月1日が期初なので、2027年分を狙うなら2027年1月の入力を始める前に設定しておく必要があります。

条件2:ソフトを入れただけでは適用されない(届出が要る)

もうひとつ、3社とも公式に同じことを書いています。税務署への届出書の提出が必要です。

  • freee:「適用届出書を所轄税務署長等へ提出すること」(あわせて社内ルールの整備・運用、インターネット環境やディスプレイ・プリンタの設置も条件として挙げています)
  • マネーフォワード:「国税の法定申告期限までに所轄税務署長等に対して届出書を提出する必要があります」
  • 弥生:「適用を受けようとする年分の法定申告期限までに届出書を提出する必要があります」

つまり「優良な電子帳簿に対応したソフトを買ったから自動的に75万円」ではありません。期初に設定 → 1年間その状態で記帳 → 期限までに届出という3ステップが揃って初めて成立します。ここは料金表を100回見ても書いていない部分です。

JIIMA認証は、あるほうが分かりやすい(無い=ダメではない)

もうひとつ調べたのが、第三者認証の有無です。JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)が「電子帳簿ソフト法的要件認証」という制度を運用していて、優良な電子帳簿の機能要件を満たしているかを外部が確認しています。この一覧(2026年8月23日時点で計109製品)を確認したところ、こうなっていました。

製品認証番号
やよいの青色申告 オンライン106800-00
マネーフォワード クラウド会計、マネーフォワード クラウド確定申告104400-00
freee会計一覧に掲載なし

ここで「freeeは優良な電子帳簿にできない」と読むのは間違いです。freeeの公式ヘルプには優良電子帳簿機能の設定手順が用意されていて、個人向けはスターターを含む全プランが対象と明記されています。freeeがJIIMA認証として案内しているのは、スキャナ保存(009000-01)と電子取引(607100-01)の2つで、帳簿側の認証は挙げていない、というのが正確な状況です。

認証は法律上の必須条件ではなく、「要件を満たしていることを外部が確認済み」という分かりやすさの話です。とはいえ、税務まわりで不安を減らしたい人にとっては、認証番号が公表されているほうが安心材料になるのは確かだと思います。

⑦ 結局、どう選べばいいのか(3つの分岐)

消費税の申告が必要かどうかで3つに分かれるフローチャート

ここまでの実測を、選び方に落とします。自分がどれに当てはまるかで、見るべきプランが1つに決まります。

分岐A:免税事業者で、とにかく費用を抑えたい

消費税の申告が要らないなら、最安プランで足ります。年払い・税抜で、マネーフォワード パーソナルミニ 年10,800円、freee スターター 年11,760円、やよいの青色申告 オンライン セルフ 年11,800円(初年度無料)です。

初年度のことまで含めると、1年目の負担がゼロになる弥生セルフがいちばん軽い入口になります。しかも弥生は全プランで機能が同じなので、「安いプランだから消費税申告ができない」といった後からの制限に当たりません。

📗 初年度0円で始められる(やよいの青色申告 オンライン)

全プランで製品機能が同じなので、最安のセルフでも消費税申告・インボイス・e-Taxまで使えます。セルフとベーシックは初年度1年間無料(2027年3月15日までの申し込み分・1事業者1回)。最新の料金とキャンペーン条件は公式サイトでご確認ください。

やよいの青色申告 オンラインの料金を公式サイトで見る

分岐B:インボイス登録済みで、消費税の申告がある

最安プランは候補から外れます。消費税申告ができるプランで揃えると、年額(税抜・年払い・2年目以降)は弥生セルフ 11,800円 < マネーフォワード パーソナル 15,360円 < freee スタンダード 23,760円の順です。

ただし、ここは金額だけで決めないほうがいい場所でもあります。マネーフォワードは請求書・給与・経費などのサービスを同じ画面から使える設計で、事業が広がったときに横に伸ばせる強みがあります。1人で完結する事業なら弥生、外注や請求書発行が増えていくならマネーフォワード、という分け方が現実的です。

📘 事業を横に広げるなら(マネーフォワード クラウド確定申告)

請求書・給与・経費などのサービスを同じアカウントから使えるのが強みです。消費税の申告はパーソナル以上、最安のパーソナルミニでは使えない点だけ注意してください。最新の料金は公式サイトでご確認ください。

マネーフォワード クラウド確定申告の料金を公式サイトで見る

分岐C:2027年分の75万円控除まで視野に入れる

この場合、判断材料が「値段」から「間に合うか」に変わります。やることは3つです。

  1. 2027年1月の記帳を始める前に、使うソフトで「優良な電子帳簿」の設定をONにする
  2. 1年間、複式簿記でその状態のまま記帳する
  3. 法定申告期限までに、税務署へ届出書を提出する

そのうえでソフトを選ぶなら、JIIMA認証が公表されている弥生・マネーフォワードは判断がしやすいです。freeeを使う場合も機能としては用意されているので、期初のON忘れさえなければ同じ土俵に乗ります。freeeの料金・機能は公式サイトで確認できます(freee会計 個人事業主向け料金ページ)。

いずれにしても、この分岐でいちばん高くつくのは「年明けに設定を忘れること」です。ソフト代の1万円より、こちらのほうがはるかに大きい。

⑧ 会計ソフトの料金でよくある質問

6つの疑問文を並べた質問カード
結局いちばん安い会計ソフトはどれですか?

条件によって変わります。消費税の申告が不要なら年払いでマネーフォワード パーソナルミニ(年10,800円・税抜)がいちばん安く、初年度まで含めるとやよいの青色申告 オンライン セルフが初年度無料でいちばん軽くなります。消費税の申告が必要な場合は、2年目以降の年額で弥生セルフ(11,800円)< マネーフォワード パーソナル(15,360円)< freee スタンダード(23,760円)の順です(すべて税抜・年払い・2026年8月23日時点)。

月払いと年払い、どちらを選ぶべきですか?

続ける前提なら年払いです。freeeのスターターは月払いにすると980円が1,780円(1.82倍)、マネーフォワードのパーソナルミニは900円が1,280円(1.42倍)になります。上位プランには月払いが用意されていないものもあり、やよいの青色申告 オンラインは全プランが年間契約で月払いがありません。試すなら各社の無料お試し期間を使うほうが、金額のロスが小さくなります。

最安プランでもインボイス(消費税申告)に対応できますか?

3社で分かれます。freeeのスターターとマネーフォワードのパーソナルミニは消費税の申告ができません。やよいの青色申告 オンラインは全プランで機能が同じなので、最安のセルフでも消費税申告・インボイス対応・e-Taxが使えます。

2027年分から青色申告特別控除が変わるというのは本当ですか?

国税庁のリーフレット(令和8年4月)に、令和9年分以後、前々年の収入金額が1,000万円を超える方が簡易簿記で記帳している場合、10万円の青色申告特別控除が適用対象外になると記載されています。複式簿記+e-Taxなら65万円、さらに優良な電子帳簿の要件を満たせば75万円の控除が受けられます。ご自身が対象になるかは、税務署または税理士にご確認ください。

「優良な電子帳簿」は今からでも間に合いますか?

期の途中からは原則として間に合いません。freeeは「ONにする以前に遡って履歴を取得することはできません」、マネーフォワードは「1件でも仕訳が登録されている場合はチェックを入れることができません」と公式に案内しています。個人事業主の場合は1月1日が期初なので、対象にしたい年の記帳を始める前に設定しておく必要があります。あわせて、税務署への届出書の提出も必要です。

会計ソフトを乗り換えるなら、いつがいいですか?

期の変わり目(個人事業主なら1月)がいちばん摩擦が少ないタイミングです。優良な電子帳簿の設定が期初でないと効かないこと、年払いの契約期間が1年単位であることの両方が、期の途中での乗り換えを割高にします。年内に検討して、1月から新しいソフトで走り出すのがきれいな形です。

まとめ:料金表は「揃えて」から読む

契約期間・申告の可否・2年目の金額・期のはじめの設定という4つの要点をまとめたスライド

長くなったので、最後に整理します。

  • 「〜円から」は3社とも年払いの最安プラン。月払いにすると最大1.82倍になる(弥生はそもそも月払いがない)
  • 最安プラン3つのうち2つは消費税の申告ができない。インボイス登録済みなら、その行は最初から候補外
  • 弥生はサポートで、freee・マネーフォワードは機能で値段が変わる。同じ金額でも買っているものが違う
  • 初年度と2年目で順位が入れ替わる。判断すべきは2年目以降に払い続ける金額
  • 2027年分から、収入1,000万円超で簡易簿記のままだと控除が0円になる(国税庁リーフレット)
  • 75万円を狙うなら、期初の設定と税務署への届出が要る。料金表には一行も書かれていない条件

私がこの記事を書きながらいちばん強く思ったのは、会計ソフト選びで失敗するのは「高いほうを買ったとき」ではなく、「条件に合わないほうを安く買ったとき」だということです。年1万円の差より、控除の10万円や、期初の設定を1回忘れたことのほうが、はるかに大きく効いてきます。

料金表を見るときは、契約期間・消費税申告・初年度かどうかの3つを揃える。それだけで、選択肢は自然と1つか2つに絞られるはずです。


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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務上の判断は個々の事情によって異なります。制度の適用可否や記帳方法については、最終的にご自身で判断のうえ、必要に応じて税理士や所轄の税務署にご確認ください。また記載の料金は2026年8月23日時点で各社公式サイトを確認した税抜価格です。改定される場合があるため、申し込み前に必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。

文:WorkTypes

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この記事を書いた人

【WorkTypes(ワークタイプス)】
北海道を拠点に、Web制作・SNS運用・マーケティング支援を行う個人事業所です。
ガジェット・IT・副業・働き方に関する情報を発信するメディア「WorkTypesLab」を運営しています。
最新テクノロジーとリアルな現場経験を活かし、実用的でわかりやすいコンテンツづくりを心がけています。

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